おはようございます!代表の安田です。
企業が財務報告において内部統制の不備が発生した場合、それが「開示すべき重要な不備」に該当するかどうかが重要な判断ポイントとなります。この不備は、財務報告に重大な影響を与える可能性が高い内部統制の欠陥を指します。
開示すべき重要な不備の判断基準
開示すべき重要な不備は、以下の基準で判断されます:
一定の金額を上回る虚偽記載これは、連結総資産や連結売上高、連結税引前利益に対する比率で評価され、連結税引前利益では概ね5%程度が基準とされています。
質的に重要な虚偽記載これには、上場廃止基準や財務制限条項に関連する記載事項など、投資家の判断に影響を与える可能性の高い事項が含まれます。
内部統制報告書での開示
期末日までにこの不備が是正されなかった場合、企業は内部統制報告書に「財務報告に係る内部統制は有効でない旨」と「不備の内容」、「是正されない理由」を開示しなければなりません。また、2023年に改訂された内部統制基準では、前年度に開示すべき重要な不備を報告した場合、その是正状況を翌年度の内部統制報告書に記載することが義務付けられています。
用語の変遷
この用語は2008年の内部統制報告制度導入時には「重要な欠陥」と呼ばれていましたが、2011年に「開示すべき重要な不備」に変更されました。この変更は、「企業自体に欠陥があるとの誤解を招かないように」という理由で行われたものですが、定義や判断基準自体は変更されていません。
まとめ
企業は財務報告における内部統制に不備が生じた場合、その不備が「開示すべき重要な不備」に該当するかを適切に判断し、必要に応じて報告書に開示する責任があります。企業の信頼性と透明性を維持するためには、内部統制の是正と開示が極めて重要です。
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