おはようございます!代表の安田です。
近年、企業経営においてROE(自己資本利益率)やROIC(投下資本利益率)といった指標が重視されるようになり、株主価値や資本コストの重要性が高まっています。2023年3月には、東京証券取引所がプライム上場会社とスタンダード上場会社に対し、「資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応」の開示を要請しました。これに応じて、2024年6月末時点で、プライム上場会社の81%、スタンダード上場会社の40%が対応を開示しています(検討中を含む)。
資本コスト対応の評価
資本コスト対応に対する投資家の関心も高く、「PBR(株価純資産倍率)1倍超え企業の増加や日経平均株価の上昇に寄与している」という評価があります。例えば、キヤノン(東証プライム、電気機器)は、配当性向50%を目途とした増配予定や自社株買い計画を開示し、同社のPBRは1倍を超え、ROEは8%台で推移しています。
取組みの進展と課題
一方で、取り組みの進展を期待する声や、「緊張感を持って経営の重要課題として位置付ける会社と、形式的な対応に終始する会社に二極化している」という厳しい指摘もあります。実際、数値目標を掲げるものの、具体的な方策に乏しい開示も見られます。
金融庁と東証の取り組み
金融庁では、「収益性と成長性を意識した経営に向けた実質的な対応を促進する」との方針を示しています。また、東証では、今夏以降に各社の状況等を取りまとめ、実効的な取り組みや投資家との建設的な対話を促す追加的な施策を検討する予定です。特にプライム市場では、すでに8割超の会社が対応を開示しているため、今後はより実質的な施策の実施が期待されます。
まとめ
資本コスト対応は、企業の持続的な成長と株主価値の向上に不可欠な要素です。企業は投資家の期待に応えるべく、具体的かつ実質的な対応を進めることが求められます。また、金融庁や東証の施策を踏まえ、継続的な改善と透明性の高い情報開示を行うことが重要です。
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