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上場企業に「有価証券報告書」の株主総会前開示を促す動き

  • yasuda-cpa-office
  • 4月16日
  • 読了時間: 2分

おはようございます!代表の安田です。


2025年3月28日、金融庁は全国の上場企業に対して、有価証券報告書(有報)の株主総会前開示を要請する文書を発出しました。これまでの「総会当日または後日」の開示慣行に対し、実務的な転換が求められることとなり、企業実務に少なからぬ影響が生じる見込みです。


■なぜ今、有報の「総会前開示」が要請されたのか?

背景には、海外投資家の不満と、日本企業の情報開示の評価損失があります。

  • 日本では、議決権行使基準日を期末と同日に設定し、有報は総会と同日または後日に開示されることが一般的です。

  • 一方、海外では、総会開催前に年次報告書を開示する慣行が定着しており、投資判断に必要な情報が得られないとの批判が集まっていました。

  • 企業努力により有報の内容は年々充実しているにもかかわらず、開示時期が遅れることで、市場や投資家から正当な評価が得られにくいとの指摘もありました。


■金融庁の要請内容と今後の動き

要請文書では、本来は総会の3週間以上前の開示が望ましいとされる一方、まずは総会前日〜数日前の開示を目指すことが現実的なステップとされています。

▼ 段階的なスケジュールイメージ

  • 2025年3月期から:総会前日の開示実施企業が増加見込み

  • 将来的に:総会2週間前→3週間前開示を目標に段階的に前倒し

  • 課題対応例:総会日変更や決算期(12月期)へのシフトも選択肢に

また、金融庁は有報レビューにおいて実施状況の実態把握を開始し、全上場企業に対して調査票を送付する予定です。


■実務への影響と対応ポイント

  1. 会計・開示スケジュールの前倒しが必要

    • 監査法人との調整や社内体制の整備が求められます。

  2. スケジュール変更による総会開催時期の見直し

    • 真夏(7〜8月)開催を避けるために、決算期変更(例:12月決算)も選択肢となります。

  3. 有報と招集通知等との情報整合性の確保

    • 株主や投資家に提供する情報の一貫性を保つ工夫も重要です。


【まとめ】

今回の金融庁の要請は、日本企業の情報開示のあり方を根本から見直す契機となります。上場企業におかれては、早期に社内での対応方針を検討し、必要に応じて総会運営スケジュールの見直しや開示体制の整備を進めていくことが求められます。




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