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のれんの非償却化に向けた議論が本格化

  • yasuda-cpa-office
  • 4月14日
  • 読了時間: 2分

おはようございます!代表の安田です。


2025年3月28日、内閣府が開催した「スタートアップ・イノベーション促進ワーキング・グループ」において、日本基準におけるのれんの定期償却の見直しが主要議題となりました。M&A(企業買収・合併)における阻害要因として長らく指摘されてきたこの会計処理について、いよいよ制度改正に向けた具体的な議論が始まりました。


■のれんとは? ― 現行制度の概要

のれんとは、企業買収時に発生する「買収価格と純資産の差額」を表す無形資産です。現行の日本基準では、のれんは20年以内の定期償却が求められており、企業の損益計算書に毎期費用として計上されます。

これにより、特にスタートアップ企業や事業承継案件では、営業利益が大きく圧迫され、次のような影響が出ています:

  • レバレッジローンの審査に不利

  • 上場・再上場時に株価形成が困難

  • IFRS企業との競争上の不利


■議論の焦点と現場の声

今回のワーキング・グループでは、以下のような実務上の課題が報告されました。

段階

問題点

M&A実行時

純資産が小さい企業ほどのれんが大きくなり、償却負担が重くM&Aをためらう原因に

借入時(レバレッジローン)

のれん償却による営業赤字リスクから、金融機関が融資を控えるケースあり

上場・再上場時

営業利益の見かけ上の減少により、証券会社からIFRS適用の要請を受けることも

また、GMOインターネットグループやソラコムといった実務家からも、のれん償却の負担がスタートアップの成長阻害につながるとの指摘が相次ぎました。


■今後の見通し:非償却化か、選択制導入か

内閣府は、今後以下の対応を検討し、FASF(財務会計基準機構)へのテーマアップを予定しています。

【テーマアップでの要望事項案】

時期

要望内容

速やかに実施すべき措置

のれん償却費を「営業費用」から「営業外費用」に表示変更

中期的な措置

のれんの非償却化、もしくは償却/非償却の選択制の導入

【まとめ】

のれんの定期償却に関する会計処理の見直しは、日本のM&A市場の活性化、特にスタートアップ投資の促進に大きく寄与する可能性があります。今後のFASFでの検討や制度改正の動向に注目が集まるところです。




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